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ミカミ ポーラのuranaisu

ミカミポーラが福岡は城南区のSalon de uranaisuで書いています。サロンいうても美容院じゃなくて占いするところよ。

U.S.版「あなたの知らない世界」に見るキリスト教思想

日々のこと スピリチュアル商売

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ディスカバリーチャンネルに超自然現象を再現VTRで扱う番組がある。昔懐かしい「あなたの知らない世界」U.S.版という感じでちょっと面白い。先日こんな番組があった。

U.S.版恐怖体験再現VTR

娘二人を持つ夫婦が美しい一軒家を買った。夢のマイホームを家族の誰もが歓迎したが、この家での暮らしには不可解な現象が伴った。階段に飾っていた写真の額がいつのまにか逆さまになっている。娘の部屋の窓が知らない間に開いている。スイッチを入れていない電子レンジが目の前で起動する。コンセントを抜いても同じことが起きる。*1
 
気のせい、勘違いとお茶を濁しつつ過ごしていたある夜、キッチンの窓に不気味な顔が浮かび上がるのを母親が目撃。娘はクローゼットから現れた黒い人影に襲われて傷を負う。たまりかねて依頼した女性霊能者によるとこの家はかつて奴隷貿易が行われた場所にあり、この土地には過酷な奴隷商人の霊が憑依しているという。

霊能者はお香を焚きながら家の中を歩き回り「主イエスの名によって命ずる!この家を出て行きなさい!」と強気に主張。もう大丈夫ですよと言われて家族は一安心するも、その後まもなく夫婦の寝室で何者かに足首を掴まれる夫。この時に至るまで家族の言い分に半信半疑だった夫はベッドの下に銃を向けて大騒ぎをするが寝室には妻以外誰もいない。一家は夜更けに着の身着のまま家から逃げ出す。
  
一家は元の売り手であった銀行に幽霊屋敷を二束三文で買い取ってもらったのであった。除霊に呼ばれた霊能者はその後たいへんな体調不良に陥り、二度と除霊の仕事を引き受けないことにした。その家はいまでもどこかに建っているという…。
 
幽霊屋敷を高値で売って、安値で買い取る。これもある種の霊感商法と言えるのではないでしょうか。

化けて出るのは誰?

さて、日本人の感覚ではいろいろ腑に落ちないこの話で特に違和感があるのは幽霊の正体。奴隷商人の幽霊?虐げられた奴隷じゃなくて?

って思うよね、日本人なら誰でもきっと。私も首をかしげた。そして思った。そうか、キリスト教的には成仏(たぶんクリスチャンは仏にならないんだけど)していない霊=神に召されていない霊=悪霊。罪のない奴隷は救われているはずだから地縛霊は奴隷商人だ!となったのだと思う。

このように文化的背景がオカルト鑑定に影響することは多々ある。欧米で「奴隷の霊が地縛霊になっていた」という番組を作ったら「奴隷は潔白だったのに天に召されないとは何事か!」と視聴者の心象を害する可能性は高いと思う。
 
ところが「『キリストの名において』悪霊に命じるフリーの霊能者」というのはキリスト教的にとてもおかしな存在。聖書中で霊媒や占い師などオカルト稼業に身を置く者はすべて邪教、悪魔の使いとしてことごとく糾弾されているからだ。

特にカトリックキリスト教原理主義者の間では、女性がキリストを代弁して職業として悪霊を追い出すというのはあきらかに異端なので、時代によっては間違いなく魔女狩り対象だと思う。*2また縦割りを重んじるバチカンはフリーの除霊者を歓迎しないことは間違いない。*3

この再現VTRは視聴者のこうした文化的なニーズに応えるものであったと思う。

西洋文化がスピリチュアル商売にあたえる影響

西洋人の多くは時に宗教としてのキリスト教を否定することはあっても、キリスト教的価値観は根深い。良くも悪くもキリスト教と西洋文明社会は切っても切れない関係にある。それは日本人にとって仏教神道儒教的価値観が無意識のうちに深く刷り込まれているのと同じだ。
 
そのため「厳密にはキリスト教の教義から外れるけどキリスト教的な価値観を逸脱しないよう気をつける」という立ち位置の西洋系スピリチュアル商売、オカルト稼業は多い。もちろん厳密には仏教から外れるけど仏教っぽいオカルト稼業、厳密には神道じゃないけど神道っぽいオカルト稼業も同様に存在する。
 
オカルト稼業、スピリチュアル商売にある者の言うことを聞くときに、そういった背景をある程度差し引いて考えることは大切だと思う。これを知らずに違う文化圏に輸入するとおかしなことになる。

欧米のスピリチュアル商売の人たちはよく「これは占いではない」と言いながらどう見ても占いでしかないことをしていたり、天使が!マリアが!イエスが!と自分に霊感を与える霊の源がキリスト教っぽいものであると主張していたりするけど、あれは死者の霊、またキリスト教以外の神仏の霊と接触を持つのは悪魔の所業だというキリスト教の教義の影響が大きいと私は思っている。

欧米でスピリチュアル商売に就いているみなさんは多かれ少なかれ異端の負い目を持ちながら、それをキリスト教っぽいものでカバーして働いているのだと思う。陰陽師を国費で雇い、巫女を支配者として置いていた日本とは占い師や霊能者の文化的背景や社会的立場がまったく違う。

文化が霊媒におよぼす影響

私は目に見えない霊の働きかけや、その霊と意見を交わし合う霊能者の存在を信じる。でも「高名な霊能者が神聖な霊によって語ったもの」とされるものを精査しないで鵜呑みにすることは止めた方がいいと思う。

私の祖母はガチの霊能者だけれど、話を聞いていると祖母を導いている霊は祖母が生まれ育った100年前の日本人的価値観に大いに影響されていることを痛感する。もしもU.S.ホラーハウスを日本のオカルト稼業が除霊をしたら「妻が夫を立てて舅姑に仕えていないから先祖が怒っているのだ」と言ったかもしれない。南米の霊能者、アフリカの霊能者はまた違ったことを言うかもしれない。
 
私は番組の話が本当だとしたら、奴隷商人は銀行頭取辺りの先祖で、その財を潤わせるためにあの世から霊感転売商法に加担しているんじゃないかと思った。売る気がないなら下見で出ればいいじゃんねー。その話を敬虔なローマカトリック信者の友人にしたら、彼女は「死んでまで子孫のために働く奴隷商人は働き者だ」と語ったのち「資本主義って恐ろしい!」と言った。

マイラブ秈保りん。

Twitterはこちら @uran_ice ◇

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*1:電源を抜いたりスイッチを切ったりしても作動する家電品の話を聞くたび、そのエネルギーを利用する方法が見つかればいいのにと思う。

*2:旧約聖書には女預言者がイスラエルを勝利に導く話があり、イスラエルの神殿に仕えた女性が幼子イエスを抱いた話や女性の福音宣明者もいるにはいた。でも基本的に神の音信は聖職者のものとされ、聖職者はクリスチャン会衆内でもすべて男性だった。

*3:近年エクソシスト不足から女子高生エクソシストが誕生したという話もあったけどこれは個人がやっている話。バチカンが定めるエクソシストの基準はかなり厳しい。