ミカミ ポーラのuranaisu

ミカミポーラが福岡は城南区のSalon de uranaisuで書いています。サロンいうても美容院じゃなくて占いするところよ。

誰が山羊座を根暗にしたか

村上春樹の「村上朝日堂はいほー! 」というエッセイ集に「わりくう山羊座」という話があった。
「星占いの本を読むと、山羊座の項目には『真面目』とか『固い』とか『ネクラ』*1だとかげんなりするようなことが書いてあって、がっかりする」という話。そう、村上春樹さんは山羊座なのです。

昔「みんなの歌」にみなみらんぼう作詞作曲の「星占いキラキラ」という歌があった。この歌詞の中でも「山羊座生まれはガマン星」と言われている。

でも山羊座の方はしょーもない冗談が好きで、努力!根性!といった精神論とは縁のない人も多い。また歌詞の中では「愉快な人は双子座で」とあるけれど、無口な双子座の方は少なくない。

こういったことから「なんだよ、星占い当たんねえな!やっぱ占いとか迷信だろ」と思われた方もいらっしゃることでしょう。今日はなぜこのような解釈をされがちなのか、そして実態はどうなのかをご説明したいと思います。

ルーラーで解釈された星座

いわゆる12星座にはルーラー(日本語では支配星)と呼ばれる担当の天体がある。山羊座土星、双子座は水星がルーラーになる。

土星これまでお伝えした通り社会の規範、制限、老人などの象徴で、水星はコミュニケーション、アイデア、学童期の子供などの象徴とされている。

さて、星占いで「あなたは山羊座です」というのは、「太陽が獣帯の山羊座の位置にあった季節に生まれた人です」という意味です。

太陽はその人のアイデンティティ、バイタルフォースの象徴とされているので、「この人は山羊座っぽい生き方をするだろう」と解釈する。
そしてルーラーから考えると、山羊座っぽい生き方とは土星っぽい生き方ということになる。

社会の規範や制限を鬱陶しいもの、重苦しいものと考えている人からすると、それらを体現した人といったらさぞや堅物なんだろうと思える。四柱推命で言うところの正官みたいな人をイメージするかもしれない。それで山羊座は「決まりにうるさい」「冗談が通じない」と判断する。

同様に水星をルーラーに持つ双子座は水星っぽい生き方をしていると考える。そして「コミュニケーションが達者でアイデア豊富でよく出歩く」と思われ、そこから「おしゃべり好き」「友達が多い」と解釈する。

でもここで忘れてはいけないのは、星座の特徴を考えるうえでルーラーは役に立つけれど、すべてではないということです。

三区分で考える

ちょっと考えてみてください。占星術で使う天体は10天体。*2星座は12星座。あれ、足りなくない?実はルーラーは各星座が一つずつ別々のものがあるわけではなく、同じルーラーを持っている星座が複数あるのです。

たとえば山羊座のルーラー土星は、水瓶座のサブルーラーでもある。*3双子座のルーラーである水星は乙女座のルーラーでもある。

ルーラー重視で判断すると、山羊座水瓶座は同じ、双子座と乙女座も同じ特徴を持つ星座ということになる。でもそんなことはない。確かにルーラーが同じ星座には共通点があるけれど、火星をルーラーとする牡羊座蠍座は違うし、金星をルーラーとする牡牛座と天秤座も違う性質を持っている。

ここで考えるヒントになるのはその星座が、どの季節の、どの時期のものかということ。それぞれの星座は季節の移り変わりの特徴を性質としてもっていると西洋占星術では考える。これを三区分と言います。三区分は二十四節気の「中」と一致しており、各グループには共通の特徴が見られる。

季節の始まりにある星座
 牡羊座春分) 蟹座(夏至) 天秤座(秋分) 山羊座冬至
 ↓
 活動宮 勢いがある

季節の盛りにある星座
 牡牛座(穀雨) 獅子座(大暑) 蠍座霜降) 水瓶座大寒
 ↓
 不動宮 安定している

季節の移り変わりにある星座
 双子座(小満) 乙女座(処暑) 射手座(小雪) 魚座(雨水)
 ↓
 柔軟宮 臨機応変に行動する *4

三区分の特徴は日頃の行動に如実に表れるので、行動をじっと見ていると何座が強いのかというヒントになる。*5ルーラーが同じでも三区分が違うと行動の仕方は変わってくる。

山羊座冬至から大寒までの星座で、活動宮にあたる。なので山羊座は行動的な人が多い。話の間を空けずに飛び込むように話したり、問題があるときは途方にくれる暇もなくすぐに対応しようとする。つまりエネルギッシュで行動的という点で牡羊座と共通の特徴がある。

山羊座は実際シビアな物の見方をするけれど、真面目と言っても部屋で暗くウジウジと教科書に頭を突っ込んでいるタイプではない。思いついた冗談を考えなしに口にするのでしょーもない発言も増えるけど、才気煥発でもある。

村上春樹さんは太陽が山羊座。「次いこう!次!」と常に新天地と新企画を求めている。少し前にwebで送られてきたメールにすべて目を通し、返信するという偉業に挑戦されていたけれど、活動宮の本気を見た思いだった。

さて、ここで「あれ?双子座と乙女座はどっちも柔軟宮じゃん。ルーラーも三区分も同じなら一緒じゃない?」と気が付いた人がいたら、その人はとても才能があるので占星術やったらいいと思う。

エレメント、または四元素

実は占星術にはこの三区分という分類の他に、四元素という分類があるのです。それも今度書くから待っててね。

12星座を覚えなくても読める占星術 「四分円半球占い」
12星座を覚えなくても読める占星術 「二区分陰陽占い」

ルーラーとなる天体の解釈に国ごとの違いがあることが書かれている。

ノルウェイの森」「テレビピープル」についていけなかった私が楽しめたエッセイがこれです。

ミセス村上がもっともお気に入りなのはこれだそうですよ。

*1:寝の暗い性格という意味の造語。昭和は遠くなりにけり

*2:土星外三惑星が登場するまでは7天体を使って占っていた。

*3:現在水瓶座のルーラーは天王星とされているけれど、古典占星術では土星水瓶座のルーラー。

*4:三区分の解釈と特徴については後日改めてご紹介したいと思います。

*5:私がフィクションに登場する人物が何座かを考えるとき、最初の手がかりにするのはこれ。