シーザー・ミランとドラゴンヘッドのスクエア
長いブログは読んでもらえないっつーから短く書こうと思ったけど、無理だった。
前回に続いてカリスマ・ドッグ・トレーナー、シーザー・ミランのチャート解説。
シーザー氏はこの人。
タイトルロゴのほのぼのさに騙されてはいけない。めっちゃ緊張感ある番組。*1
前回お話したように、彼の火星は射手座で孤立しており*2、チャート全体に強烈な印象を与えている。そして彼の仕事は射手座の火星に象徴される勇気や闘志と深く関係している。
彼は犬を攻撃するわけではないけれど、リーダーが誰かを思い知らせるというある種の権力闘争があるし、歯を剥き出しにして飛びかかってくる犬を相手に仕事をするには明らかに勇敢さ、火星が必要だ。
また、シーザー・ミランの火星にはドラゴンヘッドとの緩いスクエアがある。
今回はこのドラゴンヘッドとパーソナル天体のスクエアについて考えてみたいと思う。
1969年8月27日 シーザー・ミラン ソーラーハウス
大衆を象徴するドラゴンヘッドがパーソナル天体と拮抗している場合、その天体は大衆に物議を醸し、熱狂的なファンと強烈な敵を同時に持つ。
仕事でばりばり使っている火星にドラゴンヘッドがスクエアだということは、彼はマスメディアに姿を現すことで強い支持を得ると同時に、かなり叩かれているんじゃないだろうか。*3
と思って、ちょっと検索してみたら、あるある。すごい叩かれている。
シーザー・ミランのライブショー、デンマークで講演中止になっていた*4
シーザー・ミランを真似るべきところ、真似るべきでないところ
犬のヒーローになれば!(北欧のシーザー・ミラン批判続き)
あなたの犬は幸せですかの「Aazonレビュー」
「ふん!あんなヤツなんだ」と思ったら、普通は無視する。支持する人だけやればいいと考える。他人が支持することも許さず、国を挙げて講演を中止に追い込むなんてそんなにないことだと思う。*5
スクエアは互いに主張しあってどちらも譲らない姿勢を表す。同じハードアスペクトのオポジションのような補完関係ではない。*6
アメリカ占星学教科書 第1巻には「アスペクトを理解するにはネイタルホイールの1ハウスを起点に、それぞれの角度に何があるかを見よ」とある。
素のままの個人を意味する1ハウスに対して家庭を意味する4ハウス、そして社会的立場を意味する10ハウスはスクエアになる。家庭の躾けと社会的抑圧は、よくも悪くも個人の性格や生き方に強い影響を及ぼす。*7
しかし同時に個人のありようも社会と家庭を変えていく。家庭のルールは子供の個性に合わせて調整され、社会のルールは市民の声で改められていく。*8
個人が家庭や社会を支配する独裁者であってはならないし、家庭や社会が個人を無力化してもならない。つまりスクエアは互いに作用し合い、研鑽しあうアスペクトと言える。
シーザー氏は人は犬に対してリーダーでなければならず、対等であってはいけないと主張する。そして言葉よりもまずは態度と姿勢でそれを知らしめることを強調する。時には訓練用のリードや首輪を使うこともある。これは近年「犬は家族」「話して誉めて納得させる」という動物の飼い方とはあきらかに対立する方針だ。
彼の火星がある射手のサインは火で、火は相手の感情や通説に同調しない。そして彼の火星と拮抗するドラゴンヘッドがある魚のサインは水で、生きとし生けるものを平等に愛し、どこまでも感情移入する。この拮抗はまさに彼のトレーニング姿勢と、それに対する批判を象徴しているように思う。
言うまでもなく生き物を故意に苦しめることは残酷だし、あってはならない。しかし共同生活を送るものは犬であれ人であれルールを尊重することを学ばなければならない。そして占星術的に考えれば、学びには必ずストレスがかかる。オポジションとスクエアのないところに成長はない。では妥当な線とはどこなのか。*9彼の仕事は大衆にそのバランスを学ばせることでもあるのではないかと思う。
「犬は犬であって人ではない」という言葉はある人たちにとっては「よくぞ言ってくれた!」であり、ある人たちにとっては逆鱗に触れる言葉だろう。「犬は犬」。ではどう扱うのが妥当なのか。明らかに行き過ぎなラインを持ち出して相手を否定するのではなく、また自説の美点だけを主張することなく、バランスを取ることが求められるアスペクト。それがドラゴンヘッドとパーソナル天体のスクエアではないかと思う。
彼の太陽は乙女座にある。彼は机上の空論や精神論を振り回す人ではなく、実利を教え、慎重さを重んじるだろう。その太陽は牡牛座で逆行する土星とトライン。彼は努力家で並々ならぬ粘り強さを持つ人である。ちょっとやそっとじゃくじけないだろうと思う。*10
さて、彼のチャートから「もしやあの人もドラゴンヘッドとパーソナル天体のスクエアを持つ人では」と思った人のチャートを出して見た。
畑正憲氏。平成生まれは「ムツゴロウ王国」を知っているだろうか。
やっぱり。しかも畑正憲氏は太陽を基点としたドラゴンヘッドと冥王星のTスクエア。太陽じゃ逃げ場ない。よくも悪くもマスメディアに露出することで大ブレイクし、熱狂的な支持と大炎上を起こす人。大成功と大失敗で敵と味方をじゃんじゃん作ってこそ俺の人生!って感じ。*11
ドラゴンヘッドのスクエアは思っていても立場をはっきりさせると我が身が危ない話題を持ち出すところがあるのかもしれない。「人形の家」の作者イプセンにもあったかどうか、今度調べてみよう。
子供の頃、母から借りて読んで泣いた。
ステップ・バイ・ステップでドリルっぽい。
*1:タイトルについては「『ダメ犬躾けます』なんて、シーザーが絶対に言わない事を」と怒りの声あり。
*3:ドラゴンヘッドは母親の影響力も指すので、母親はアメリカ移住をよく思わなかったかもしれない。
*4:デンマークじゃ犬の去勢や避妊は「躾を怠ろうとする飼い主の甘え」ととらえられるそうだよ。ワーオ!どうやってそのシーズンを乗り越えているのか興味がある。
*5:彼の出生時間がわかったら、北欧がどの星のライン上に当るのか、ぜひ調べてみたい。
*6:1ハウスと7ハウスのパートナー関係で補完しあい、4ハウスと10ハウスはローカルルールとオフィシャルなルールを補完し合う。
*7:牡羊座の向こう見ずさは蟹座の仲間意識に束縛され、山羊座の社会的規範に拘束される。
*8:蟹座は牡羊座によって感情的な馴れ合いから脱し、山羊座は保守を脱する。
*9:犬に振動する首輪をつけることは残酷で、殺処分することは残酷ではないのか?調教用リードで首を絞めることは残酷で、散歩を学ぶまで家から出さないのは残酷ではないのか?などなど。
*11:ソーラーサインでは角度的にドラゴンヘッドと金星でグランドトラインになる。月が天秤座に入っていたとしても金星とは間違いなくトラインだし、誰に何と言われようと自分の楽しいことが楽しくてそれで満足な人だろうと思う。