職業適正に関するご相談はとても多い。西洋占星術で職業適正をみる方法は色々あり、私は松村潔先生の最新占星術入門をベースにMC、6ハウス、2ハウスを中心に見ている。*1
この方法は特定の職業に適正があるのかどうかがとてもよくわかる。しかし候補がなく「いったい何をすればいいでしょうか?」といったご質問も少なくない。このような場合、この世にどんな職業があるのかを知らないと紹介のしようがない。
ドナ・カニンガムという占星術師*2は占星学ベスト・テキストブック―職業占星術の中で「職業占星術をやるなら最新の職業録のリファレンスを持っておきなはれ」と書いている。ということで、ピッタリな本を買いました。
新 13歳のハローワーク 89の職業が追加され、112ページ増量された新版。
例えば、双子座や射手座が強調されたチャートを見たとする。双子は語学を、射手座は貿易、出版と繋がりがある。語学教師、通訳、貿易、輸入品販売…ええと、それから?
この本を見ると他にもこんな職業があることがわかる。
外航客船パーサー、大使館スタッフ、著作権エージェント、観光庁職員!自分にとって身近でない職業って、なかなか思い付かない。
私は様々な本に書かれている固有のサインと関連する職業をノートに書き留めている。けれども、その本が出された国や地域、そして時代にとっては身近でも、現代の日本にマッチした職業でなければ鑑定の現場では使いづらい。
例えば、土星が表す職業に「氷商」っていうのがあるんだけど現代日本では行商から氷は買わない。*3また、太陽が支配する職業に「ライオン調教師」っていうのもあるけど、動物を使ったサーカスは消滅寸前なので、太陽が強調されたチャートの方であってもお薦めしかねる。
このようなわけでいまも昔も変わらない恋愛の悩みと違って、職業占星術は本の内容を丸暗記することはあまり実際的ではない。大切なのはそれらの職業と特定のサインや天体がどのように関連性があるかを理解すること。そうすればなぜ乾物屋が金星に関係付けられているのかがわかる。*4
例えば牡羊座は火を使う職業、刃物や武器を扱う職業に適正があるサイン。この本のこのページは牡羊座が強調されたチャートの職業適正を見るのにとても役立ちそう。
他にも「戦争が好き」「ナイフが好き」といった意外な項目もあり、世の中には本当に様々な才能がアッと驚く職業に活かされているのだと感心させられる。*5
「占星家とは具体的な情報に精通し、人生を熟知し、話術に長けた人間である。短くまとめるなら『情報通で経験豊富、そして言語明瞭』。そういったイメージをクライアントに与えられてこそ、プロの占星家としてクライアントを安心させられるのです。」と、ノエル・ティルは書いている。*6
占い師になりたい方は占術だけでなく、具体的で現実的な問題に関する様々な情報に通じておく必要がある。人生経験には限りがあるけど、本はそれを補う助けになる。時事問題や流行にも目を向けて、出来事と占星術の繋がりを日頃から意識すると、いい訓練になる。