ミカミ ポーラのuranaisu

ミカミポーラが福岡は城南区のSalon de uranaisuで書いています。サロンいうても美容院じゃなくて占いするところよ。

シャーリー・ジャクスン「ずっとお城で暮らしてる」を逆転させる方法

こんにちは。福岡の人妻占い師uranaisuです。今週のお題「読書の夏」ホラー編でもう一冊主出した本があるのでご紹介したい本があります。前回に続いてアメリカの作家で、シャーリー・ジャクソンという女性の作品です。

 

ホラーには社会的、文化的な価値観が反映されると前回書きましたが、彼女の作品は怖がるものと怖がられるもの、本当に怖いのはいったいどちらなのかと読者に問いかけてくるように思います。

いわゆるホラーの怖さとしてはだんとつで「たたり」がおすすめなのですが、今回ご紹介したいのは「ずっとお城で暮らしてる」という物語です。彼女のくじという有名な短編はネットでも読めるので、興味のある方はリンク先でどうぞ。

 

昭和の日本の怖い話

少し話がそれますが、子供の頃見た「あなたの知らない世界」で印象に残った話に、入院中隣りのベッドにいたお子さんが、深夜に退院後の娘の枕元にやってくるという話がありました。

 

我が子の枕元に立つ少女を見た母親は不思議と恐怖を覚えません。やってきた少女は娘の顔をじっとみて「○○ちゃん、よう寝とうね」とポツリと言います。「うちね、これから遠くへ行くんよ」胸騒ぎを覚えた母親は「どこいくん?おばちゃんがついていってやろうか?」と言いますが「ううん、おばちゃんには○○ちゃんがおるもん」といってすぅっと消えてしまいます。少女はそのころ病院ですでに亡くなっていたのでした。 

 

虫の知らせではないかと病院を訪れた母親は医師から少女の死の知らせを受けます。死因はなんと餓死。少女はいつも母親が重箱に入れてもってくるお弁当を食べ、病院食は食べていませんでした。隣のベッドにいたよしみでスイカをわけてやろうとしても「あら、ありがとうございます。でもスイカはお母さんが持ってきてあげたばかりだものね、いらないね」と少女の母親がいうと「うん、お母さん」と少女は断ってしまいます。

「お母さんが毎日あんなに立派なお重を持ってきていたのに…」「実はあのお重は空だったんです」「そんな!」「あのお母さんは継母だったんですよ」 

「かわいそうな□□ちゃん…。今ごろは天国で本当のお母さんに会えていることでしょう」そんなナレーションとともに感傷的な音楽が流れ、VTRは終わります。

 

大人になってふりかえると突っ込みどころの多い話ですよね。餓死するほどの飢餓状態に担当医が気付かないのは不自然。こんなおかしな話がなぜ堂々と一応大人向けのテレビ番組で放送されてしまったのでしょう。

 

死んだ人より怖いのは

「スイカには利尿作用があるからおしっこがよく出るよ」という台詞が印象に残り、「そうなのか…」と今日まで覚えていたわけですが、いま思えばこの話は「継母の継子いじめ」を番組に寄せられた実話風に扱っていたものだったのではないかと思います。ひと世代前の紙芝居や、祖父母がしてくれる怖い話にも継母が継子をせっかんする筋書きのものがよくありました。

 

実際には当時後妻として嫁いでくる女性の多くは子連れの男性との結婚を受け入れざるを得ない事情があることが多かった。実家の方でも「苦労するのは目に見えているが背に腹はかえら得ない」と苦渋の決断で娘を嫁に出したのです。つまり社会的に後妻さんは弱い立場だったわけですね。

 

もちろん継母に育てられて苦労したという話は今も昔も本当にありますが、「継子いじめ系」の怖い話は血の繋がらない子供を育てる女性を周囲が応援するのではなく、「恐ろしいもの」として叩く文化のあらわれでもありました。怖いのは「継母=虐待」とワイドショーノリで対岸の火事を楽しんでいたいじめ文化でもあったのです。

 

迷宮入りした犯罪被害者の家族という弱者

シャーリー・ジャクソンはこうした排除するものとされるものが持つ恐怖を描くのが上手い作家です。「ずっとお城で暮らしてる」は村から孤立している高貴な家柄の姉妹の物語。姉のコニーことコンスタンスは28歳、妹のメリキャットことメアリ・キャサリンは18歳。家にはもうひとり年老いた伯父のジュリアンと猫のジョナスがいますが、他の親族はメリキャットが幼いころ、砂糖壺に仕込まれていたヒ素をお茶の時間に飲んで死んでしました。

 

事件当時、叱られて寝室に閉じ込められていた幼いメリキャットは疑われませんでしたが、ティーパーティーの席にいた姉のコニーは被害者でありながら殺人の疑いで執拗な取り調べを受けます。結局証拠不十分でコニーは解放され、幼いメリキャットと老人の世話をしながら家から出ない生活を送るようになります。

村人は資産家の娘である二人へのやっかみから二人に殺人者の汚名を着せます。メリキャットはそんな村人を憎みながらも、生きていくため、またコニーを守るために村との関わりを引き受けて暮らしています。

 

犯罪被害者家族の苦しみを考えるとき、わたしはジョンベネ事件を思い出します。1996年にアメリカで美少女コンテストを総なめしていた当時6歳のジョンベネ・ラムジーは、クリスマスに自宅の地下室で何者かに殺害されました。マスメディアと当局は娘を亡くした家族にいっせいに疑いの目を向けました。

家族は娘を亡くしたショックに加え、当局からの執拗な取り調べと周囲の疑いの目に何年もさらされました。ジョンベネの母親は10年後に癌で亡くなり、幼かった兄は12年に渡る取り調べの後ようやく解放されましたが、心の傷がどれほどのものなのかははかりしれません。

 

ジョンベネの家族とメリキャットの家族の間には家族が犯罪被害に遭ったことの他に莫大な資産を持っていたという共通点があります。これも周囲から嫉まれ、好奇の目で見られる原因のひとつだったことでしょう。メリキャット姉妹にはお金はあっても盾になってくれる男性がいませんから、なおさら叩きやすかったと思います。

 

こんな風に村人からのやっかみと好奇の目にさらされながら、莫大な資産と貧しい人的資源に囲まれて暮らすコニーとメリキャットでしたが、ある日二人のもとに、従兄のチャールズという男性が訪れます。

事件以来初めてさしのべられた人並みの交友に慰められ、コニーはチャールズに少しずつ心を開いていきます。しかしチャールズをどうしても信頼できないメリキャットはあの手この手で彼の邪魔をするのですが…。

ここから先はぜひご自分でお読みになってください。ネタバレレビューもたくさんあるので、どうしても先を知りたい!という方はいますぐ検索。

 

占い師としてメリキャットにおすすめしたい開運法

姉と伯父以外誰とも接することなく村人を憎み続けてきたメリキャット。彼女はすこし風変りな少女で、彼女の異常さこそがこの作品の怖さだとする感想も少なくありません。

でもわたしはどう考えても彼女を槍玉にあげた人たちの方が怖いと思うんですよね。追い詰められて猫を噛んだ鼠は生来のマッドマウスでしょうか?

 

そんなメリキャットにおすすめしたい開運法はロケーション占星術の活用です!じゃじゃーん。これは生まれたときの星の位置から世界各地の土地が個人にどのような影響を及ぼすかを調べる占星術です。たぶんメリキャットにとってその村は場所が悪い!お城、出た方がいいよ!「どこいってもうまくいかない」なんて嘘だから!

 

実際鑑定していてこういうお客様は少なくありません。そういう方は移住でぐっと状況が変わる可能性があります。開運ゾーンが国内にあるとは限らず、移住が難しい場合は自分にとって有利な土地の文化を取り入れたり、その土地で作られたものを身につけるという方法もあります。

 ロケーション占星術は正確な出生地と出生時間がわかっていれば誰でも調べることが出来ます。メリキャットとコニーはお嬢さまだからきっとわかるはず!私が調べてあげるよ!しあわせになって!

 

というわけで、みなさんも誰かが周りと上手く行っていないとき、いつも槍玉にあげられている人が悪いと思いこまないでくださいね。あなたご自身がやられているなら特にそうです。雨雲や地震は誰の上にもやってくるのですから。

 

ロケーションはstargazerでもある程度出せます。

 

Twitterはこちら @uran_ice ◇

 

にほんブログ村 その他趣味ブログ 占い師へ
にほんブログ村