「彼は運命の人でしょうか?」というご質問をよくいただく。
その度「あなたがおっしゃる運命とは?」と思う。
しかし鑑定中にそこまで深く話し合うのは憚られるので
ここで私が思う「運命の人」について書いてみます。
運命についての考え方は人それぞれだけれど
西洋占星術には「象意に合った」という言い方がある。
簡単に言うと
Aさんのチャート(ホロスコープとも言う)の
パートナーを意味する位置に
水の象徴があって
Bさんの個性を意味する位置に
際立った水を象徴があれば
BさんはAさんのパートナーとして「象意に合っている」。
同様にBさんのパートナーとしての象意に
土の象徴があり
Aさんの個性が土で象徴されていれば
AさんもBさんのパートナーとして「象意に合っている」。
「象意に共通点がたくさんあればあるほど縁が深い」
という考え方がある。
言い方を変えると「条件が合っている」ということですね。
実際に長くパートナー関係にある方同士は
チャートに驚くほどの象意の一致が見られることが多い。
それも、意図的に探しても、そうそう見つからないような一致。
さらに出会った時期をうかがうと
双方が運命の出会いで人生を一変する時期に来ていた
ということも、よくある。
ということで、これを逆手にとって
運命の出会いの時期に、象意が一致する人が身近にいないかを探すわけです。
ところが、このような永続的なパートナー関係の象意は
必ずしも恋愛の盛り上がりを意味しない。*1
なので、好きになった人が「運命の人」とは限らず
「運命の人」に出会っても、どきっともしないこともある。
よくあるのが
「いい人だと思うけれど恋愛対象として見る事が出来ない」。
でも、よく考えてみてください。
生涯続くパートナー契約の始まりは、歴史的に、また世界的に見れば
恋愛結婚ばかりではないということを。
占星術的に、恋愛が盛り上がる時期というのがある。*2
そういう時は、相手がすばらしく見えやすいので、恋に落ちやすい。
逆にそういう時期に出会った人でなければ
「何とも思わない」というのはよくある。
「お腹が空いてないから、今は食べたくない」って感じ。
また
自分の欠落を激しく刺激してくるタイプの人に
恋愛感情のような激しい執着心を煽られることもある。*3
これまで満たせなかった何かを
その人との関係で満たせそうだと思って夢中になる。
分かりやすいところでは
お金をたくさん持っているとか、連れて歩くと自慢になるとか、セクシーだとか
自分ひとりじゃ満たせない要素を相手が満たしてくれそうな場合。
分かりにくいところでは
生活力がない、幼い、人付き合いが下手といった、未熟な要素を持つ人に対して
「この人には自分が必要だ、役に立てそうだ、助けてあげなければ」
と無意識に思い込んでしまう場合。
こういう人と出会うと、互いに依存関係になりやすい。
いずれにしても、自分の欠落を埋めてくれる人に出会うと
人はきゅーーーん!となったり、ずっきゅううううううん!となったりするので
およそ永続的なパートナーとしての「運命の人」じゃなくても、ぐっとくる。
占星術で見ると
こういう人との相性は「愛」というより「イベント」で象徴されていることがある。*4
転職や転居、突発的な事故のような「イベント」で象徴される相手との恋愛は
アドレナリン出まくりで夢中になるのは無理もないし
その後の人生を大きく左右するという意味では「運命の人」ではあるんだけど。*5
以上のことを踏まえて
結婚を含め、永続的なパートナー関係を結ぶ相手を探している人は
恋愛がしたいのか、パートナーがほしいのか
ちょっと考えてみてほしい。
パートナー関係での愛情は
恋のときめきを含む場合もあるけれど、含まない場合もかなりある。
恋が、好きなアーティストのライブだとすると
愛は、同じアーティストの曲をBGMとして聴くのと似ている。
日常の中で絶えず耳にして心地よい音楽が
熱狂的な官能にいざなってくれるとは限らない。
初めて聴いた時なんとなく好きだなと思った曲が
人生のテーマソングになることだってあるし
「運命の人」が運命の力で
知らない間に身近なところにいることも、よくあるからね。
少々お高いけれど、相性を占うにはこの本がおすすめ。