ミカミ ポーラのuranaisu

ミカミポーラが福岡は城南区のSalon de uranaisuで書いています。サロンいうても美容院じゃなくて占いするところよ。

スピリチュアル貧困ビジネスと裸の王様

所属していた占い会社が活動を停止した。
私はこの会社に採用されて
占いでお金をいただくようになった。

一応、専属契約ということになっているので
いま他に所属しているところはなく
対面鑑定とイベント出席などは個人で
ほそぼそやっている。

次の会社どうしようかな
と思って、いくつかwebの占い会社を見ているところです。
と、元所属先からいただいた電話で話したところ
「伝手のある会社があるから紹介してあげましょうか」
と言ってくださった。

占い会社は占い師の鑑定料で成り立っているので
鑑定料から何割かを会社が受け取る。
元所属先での占い師の取り分は50%。鑑定料1分100円なら50円。
これはかなり気前がいい方だったと今はわかる。
電話占いの相場は25%以下くらい。

鑑定料が200円だったら占い師の取り分は50円。
残り150円から諸経費が出る。
通話料、システム構築料、広告費、スタッフさんのお給料とかね。

そんなわけで会社に所属している占い師の鑑定料は
お安くない。
国家資格持ちの弁護士と話して30分5000円くらいだから
比較すると身の引き締まる思いがする。
ううむ、って感じ。
じゃあ占いに来る人はお金持ちで羽振りがいいかというと
一概にそうではない。

中には、目がくらむようなお金持ちもいらっしゃる。
デパートのイベントでは
見るからに上質な服に身を包んだマダムや
育ちのよさを絵に描いたようなお嬢様がいらしたり
webの鑑定でも
びっくりするようなお仕事の方がお出でになることもある。

そういう方は千円、二千円を
ちょっとした遊びに使っても
何の心配もないのだと思う。たぶん。

でも、占いにはまる方の中には
その千円であと何日ご飯を食べるかを
真剣に考えないといけない人だとか
鑑定料をこっちに割いたら、問題が解決に向かうのでは?
という方も少なくない。

それでも藁をもすがる思いで
多くは気持ちが不安定になりがちな深夜に
匿名で、顔を見せずにすむネット占いに
アクセスする。

占い師にも職業倫理があって
もともと同じことを頻繁に占うことはすすめられていない。
「いい結果が出るまで粘りまっせ」
という態度だともちろん不味い。*1

とはいえ、人の気持ちは刻一刻と変わるので
ある人が自分をどう思っているかを
一週間に何回も何十回も繰り返して占いに来られたり

郵便物の配達状況をチェックをするように
問題解決の兆しがないか
繰り返し、繰り返し占いに来られたりするお客様もいらっしゃる。

でも、こちら側からNGを出すことが無理なシステムだと
いくら説得しようとしても接続された瞬間、課金が始まる。

ここがある意味、占い師としての適性が試されるところで
それは相手の問題だと割り切って
いくら注ぎ込まれてもぜんぜん平気な人もいる。
相手が誰でもお値段なりの優れたサービスを提供すればいい。
そもそもお客様のお財布を詮索するなんて失礼だし、下世話なこと。

私、この仕事始めてから
お水のお姉さんお兄さん方に、俄然興味が湧きました。
なんか、似てない?

さて、紹介された新たな占い会社には
「たくさんいいお客さんがいるから、その方々に失礼のないように」
と元所属先のスタッフさんは言いました。
いいお客さんとは
長年びっくりするような額の鑑定料を払ってくださる客さんのことだそうです。
お得意さんですね。

この話を聞いたとき
「愛されている会社なんだな」
と思えず
「出来ればこの会社に所属するのは避けたいな」
と思いました。

この仕事始めてから知ったのですが
世の中には「占い依存」という言葉があって
こちらの会社ではそのような方を
太客
として歓迎したいという方針なのかしら、と思えたのです。

高橋桐矢先生は「占い師入門」の中で
「相談者の問題が解決して、占いが必要なくなることが占い師の喜びです。」
と、書いていらっしゃいました。

そりゃ、「解決しましたとか」「当たりました」とか
報告がてらお出でになって
次の課題のご相談をいただいたりするのは
天にも昇る心地ですが

もしも私が美容師だったら
もう剃るしかない
というくらいまで、髪を切ってくれとおっしゃるお客様は
素直に喜べないと思ったのでした。

いや、そんなのは甘い。

いっそ占ってもらうだけじゃなく
占いを学ぶのはどうですか。
さらに
うちのお教室には資格取得コースもあるんです。
お値段はセットだと何十万円ですが、今なら限定で…

ってなもんで

占い師として経済的に成功する一つの方法は
貧困ビジネスなんじゃないかな
と思うわけですよ。

経済的には、文字通りの貧困状態になくても
心が痩せ細って、飢えてぎらぎらしている人に
これで人生大逆転よ、私を見て。あなたも私みたいに成功できるのよ
と、見合わないものを強力プッシュ。

いわゆるパワーストーン屋さんで、常連らしきお客さんが
「浪費が止められないんです」
と言ったら、店員さんが
「うん、それならこの石!」
とさらにショッピングをお勧めしていたのを思い出します。

「裸の王様」という話がありますが
占い師やヒーラーは
ある意味であの仕立て屋のようだと思う。

実は、その服は確かにあって
見る人が見たらまばゆく輝く高貴な服かもしれなくて
仕立てるまで相当な技術と大変な労苦がいったのかもしれないけれど
王様には物質的な服も必要で
それを取り上げてしまわないように
王様が人から言われなくてもそれに気づくように
助けていかなくてはいけないなと思う。

*1:でも不思議なことに、こういうときは何度占ってもタロットの結果はあまり変わらない。